東京オリンピックの選手村に建築されたマンションの引き渡しが、1年延期されたことを巡って、購入者らが損害賠償を求めて、集団提訴に踏み切ることが分かりました。
■1年延期「蚊帳の外で不信感」
入居予定の男性:「こういう扱いを受けるとは、ちょっと想像していなかったので。本当に言葉がないというか、絶句ですね」
憤りを隠しきれないのは、都内に住む50代の男性です。
窓からの眺望と緑豊かな環境を気に入り、おととし「晴海フラッグ」で、4LDKの物件を約8500万円で購入しました。
当時の契約では、2023年3月に引き渡される予定でしたが、東京オリンピック開催の1年延期が決定すると、1通の手紙が届いたといいます。
入居予定の男性:「新たな引き渡し予定日というのが、当初の予定よりも1年遅れますという内容の手紙ですね」
しかし、その決定について男性は、次のように話します。
入居予定の男性:「どういう方向で調整しようとしているのかも分からないし、情報が何もない。私たちはなぜ、蚊帳の外なんだっていうところに、すごく不信感を持った。ものすごくショックだった」
事前の説明や協議は一切なく、寝耳に水だったといいます。
入居予定の男性:「オリンピックが1年延期で、引き渡しが自動的に1年延期って、何の努力もしていないじゃないかという思いは非常にあって」
男性によると、引き渡しが1年間遅れれば、住宅の賃貸費用などが約500万円かかります。
それにもかかわらず、当初の予定通りの引き渡し時期を守る姿勢が見えず、費用を補償するという話もないことに誠意が感じられないといいます。
晴海フラッグに向かってみると、引き渡しに向けて工事が進められていますが、選手村として利用されていた際の標識が残ったままの状態です。
マンションの周りは柵で囲まれ、重機が止められていますが、工事関係者の姿はまばらでした。
入居予定の男性:「もうオリンピックが終わって、ずいぶん経つんですけど、あまり工事車両が来ている感じではないので。できる限り工期を短縮して、なるべく早く引き渡しができるように、お願いしたいと思います」
■入居できず「400万円負担」
また、別の購入者は、「自分としては、もうちょっと詳しく説明を聞きたかったです」と話します。
東京オリンピックが1年延期されたことに伴い、売主側は東京都から、選手村の賃料として新たに41億8000万円を受け取っていました。
しかし、その手続きは購入者らの同意なく進められたといいます。
入居予定の男性:「この40億をディベロッパー側がどういう形で使うのか。それは、かなり知りたかったです」
男性と家族は、現在は千葉に住んでいるため、引き渡しの延期により、東京に就職した子どもたちの通勤費や家賃などで、およそ400万円を負担せざるを得ないといいます。
入居予定の男性:「気に入ったマンションなので、デスクトップの画面も晴海フラッグにしています。毎日、楽しみにしています」
この2人を含む、晴海フラッグの購入者27人は、合わせて7600万円の賠償を求めて、24日に集団提訴に踏み切ります。
訴訟代理人弁護士・加藤博太郎氏:「説明もなく、一方的に引き渡し期限を伸ばしてきたというところで、多くの方々の人生設計が狂ってしまったというところが問題となっている。予定通りの引き渡し期日までに、しっかりと引き渡せるように、しっかりと努力してほしいと、そういったことを問うていく裁判になると思います」
一方、売主の幹事社側は、当初の予定通りの引き渡しの可否や補償の方針について、次のように回答しました。
三井不動産株式会社:「売主として適切に対応しております。特定の購入者様との個別の契約内容については、お答えを差し控えさせて頂きます」
また、購入者の同意を得ないまま、東京都に選手村として貸し出したことについては、次のように回答しています。
三井不動産株式会社:「選手村の利用については、本事業の前提であると考えております。また、個別の契約内容については、公表を差し控えさせて頂きます」
(「グッド!モーニング」2021年12月23日放送分より)
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