ワールドカップへの挑戦を終え、帰国したサッカー日本代表を迎えたのは「ありがとう」というファンからの声でした。

激闘を終えたばかりの、日本代表・森保一監督と中継がつながっています。

◆日本代表・森保一監督

(Q.成田空港でのファンからの歓迎はどう感じましたか)

めちゃくちゃ、うれしかったです。我々の戦いは、サポーター・国民の皆さんに笑顔になってもらう、喜んでいただくということでやっています。

我々が「ありがとうございます」と言わなきゃいけないのに、「ありがとう」と言葉をかけていただきました。

何よりも、国民の皆さんの笑顔と喜びを見せてもらうのが、本当に自分の喜びで、今うれしいです。

(Q.日本代表の戦いを総括したら、どう表現しますか)

“新しい景色”は、ベスト16の壁を破れなかったことで、見ることはできませんでしたが、違った新しい景色、ドイツやスペインに逆転勝ちしたり、これまでになかった日本の新しい景色が見れたと思います。

何よりも選手たちが見せてくれたパフォーマンスは、新しい時代に日本のサッカーが突入していることを示してくれたと思っています。

これから、さらに楽しみにしていただける戦いができたと思います。

(Q.“しっかり守ってカウンターで勝つ”という日本のスタイルを確立できたと思いますが、どうみていますか)

おっしゃる通り、我々が良い守備から良い攻撃にということ、世界の舞台で勝つために必要なベースの戦い方から、相手にリードされた時には、カウンター攻撃がなかなか効かないなかで、選手たちがよりアグレッシブに、勇気を持って、勇敢に前に出ていくことで、世界トップの強豪にも逆転勝ちを収められるという、日本の新たなチカラ、戦い方ができたかなと思っています。

(Q.前半と後半でチームの性格ががらりと変わるような戦術は“森保マジック”とも言われ、世界を驚かせました。今まで見せていなかった選手起用の仕方は、何か思惑がありましたか)

ワールドカップに出てくるチームはどこも強いですし、特にドイツ・スペインはワールドカップ優勝経験もある、力のあるチームですので、簡単に我々が理想とすることはできないだろうと。

その時にまずは、良い守備から入っていくということで、選手たちには前半我慢してもらいながら、後半一気にギアを上げていくと。

選手たちがそれをよく理解してくれて、戦ってくれたと思います。

他の戦い方もできたとは思いますが、勝つ確率を考えた時に、データ的には言えないですが、選手たちも納得して、戦うプランに沿ってプレーしてくれたと思っています。

ただ、後半一気に上げるなかで、個々の局面でも全く劣っていなかったと思いますし、1対1の局面で、日本の選手が世界の中で戦っていけるというところを、選手たちは見せてくれたと思います。

(Q.各試合が終わる度に、海外の記者から「日本は進化している」と言われることが多く、試合を重ねるごとに、日本のユニホームを来た海外の方も増えていったように感じています。海外からの反応をどう感じていますか)

とてもうれしいです。

我々がやっていること、世界の舞台で勝っていこうとすることが、日本のサポーター・国民の皆さんに喜んでいただき、海外でサッカーを見る目が肥えた方々にも評価してもらえることは本当にうれしいです。

選手たちが見せてくれる、勇気を持って勇敢に戦うことと、日本の良さでもある粘り強く、チーム一丸となって最後まで戦い抜くというところを、世界中の人たちが感じてくれているのはうれしいです。

(Q.諦めない姿勢が本当に色々な人に響いたと感じます)

そこは、選手と共有して、表現したかったところですので、そうやって見てもらえてうれしいです。

勝つためにも、最後まで諦めないで戦い抜くことは、非常に大きなポイントとなると思いますので、選手たちは良くやってくれたと思います。

(Q.代表監督は、激しい批判にさらされたり、一転して称賛されたり、厳しい環境にあるとおもいますが、どうやって凌いでいきましたか)

まずは鈍感力があるので、あまり感じていなかったところがあります。

称賛も批判も含めて、サッカーをより幅広く見ていただけることは、私にとってもうれしいことです。

無関心であることの方が寂しいことなので、本当にありがたく思っています。

サッカーで夢や希望、元気や勇気や根気を届けられたらと思っているなかで、国民の皆さんは日常の一部として、サッカーを見ていただいて、喜怒哀楽の感情を爆発させることができるというのは、サッカーをしているものにとって、非常にうれしいことです。

できれば喜びがいっぱいあってほしいですが、喜怒哀楽全てぶつけていただいて、日常のストレス解消につなげてくれたらうれしいです。

(Q.チームを一つにまとめていく難しさはありましたか)

選手全員が、野球で言えば“エースで4番”“俺が王様”“俺が1番”というのは、一流アスリートのなかでは、当然持ってもらいたいことです。

選手たちが突き抜けていこうとする向上心を見せてもらうことは、すごくうれしいです。

まとめるのは、もちろん大変ですが、私たちのチームには素晴らしいベテランがいて、チームをまとめてくれました。

今回、26人中19人がワールドカップ初出場ということで、経験値は浅かったですが、ベテランが若手をうまく支えてくれて、若手が躍動してくれたと思っています。

若手の活躍を、日本の若い人たちが「俺たちもできるんだ」って思ってもらえるとうれしいです。

(Q.コスタリカ戦で負けた後の練習では、ベテラン選手が多く声を出して引っ張って、何とか前を向こうという雰囲気を感じました。ただ、スペイン戦に勝利した後からは、チーム全体で前を向いている、自信のようなものも感じました。チームの中で見ていて変化はありましたか)

勝ったり負けたりで、感情の波はあったと思いますが、大きくは揺れ動いていないなと思っていました。

ベテランが常にチームをまとめてくれて「監督はいらないから、自分たちでまとめるよ」という感じで、チームを良い方向に導いてくれて、若手もベテランの姿を見て「自分たちも仲間のために、チームのために、日本のために自己犠牲払って次に向かうんだ」と。

言い合っているわけではありませんが、自然と一体感が生まれてきていました。

個性の強い集団ですけど、日本の良さである、団結力や一体感を持って何かに向かっていくという“和”の力を皆が分かっていて、実践してくれようとしていたと思います。

それが自分たちが勝つためでもありますし、我々を応援してくださっているサポーター・国民の皆さんにも「日本の戦いはこうなんだ」というのを皆で共有して戦えたと思います。

(Q.監督として色んな言葉を選手たちにかけてきたと思いますが、逆に選手たちからかけられて印象的な言葉はありますか)

「僕たちできます。勝てます」と、選手たちは常にポジティブなので、スペインやドイツと戦う時にも「普段通りの力を発揮すれば自分たちは勝てる」ということを、常に伝えてもらっていました。

予選の苦しい時も、土俵際に立っている時も「いや、できるでしょ。自分たちは」という声を、逆に選手たちからもらって、監督が励まされていました。

(Q.監督として、これだけは守りたいと決めていることはありますか)

一つは、チームが団結心を持って戦うということは、個を大切にしながらも、組織的に戦うということは、選手たちに常に伝えていっているところかなと思います。

ただ、私自身は、カリスマ型でトップダウンで引っ張っていく形ではないので、皆で頑張ろうよという雰囲気をできるだけ作っていきたいと思っています。

(Q.これから日本サッカーはどこを目指していきますか)

日本はこれから、ベスト16の壁を破るだけではなくて、日本サッカー協会も2050年までにワールドカップで優勝するという目標を掲げています。

世界に追い付くではなく、世界を追い越す。勝つためには何をしなければいけないかを考えていかないといけないと思います。

組織的には戦えますが、個の力をどれだけグローバルスタンダードの中で、ワールドカップ基準の中で、強く逞しく大きくしていくことが大切かなと思います。

その個の力の中には、人とつながれる能力を常に持って、最終的には組織的に、日本の“和”の力を持って戦えるようにすることは必要かなと思います。

(Q.今後も代表監督を続けてくれと言われたら続けますか)

はい。続けたいと思います。

ただ、今は正式な話はいただいていませんので、監督業はもう少し続けていこうかなと思っています。
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