2021年、メジャーリーグの舞台で投手と打者の二刀流を実現させ活躍した、MVP男・大谷翔平。世界中の誰もが認める圧倒的な成績を残して、常識を覆し、世の中に「二刀流」という概念を定着させ、感動を与えてくれました。

そんな大谷選手と同学年の選手が2022年メジャーリーグに挑戦します。プロ野球では圧倒的な記録を残し、スター選手となって広島カープの看板選手となっています。そんな彼が大谷選手の影響を受けてメジャーリーグにやってきました。

彼の名は鈴木誠也。

彼は日本プロ野球で首位打者2回、最高出塁率3回など数々のタイトルを獲得しており、ここ数年は「最もメジャーに近い男」と称されていました。広島カープの顔として、広島カープの球団側やファンにとっては「広島に絶対必要不可欠な存在」になっていました。
そんな鈴木誠也選手は、同学年の大谷選手と比較されるようになりました。

大谷選手は昨年、リーグ・MVPを受賞しており、大谷選手と同世代の鈴木誠也選手がどんな活躍をするか一層楽しみになってきました。
さて、本動画では、鈴木誠也選手のことを知らない人のためにも「鈴木誠也選手ってどんな選手?」という話から、「メジャーでは活躍できそうなの?どれくらい期待されているの?」という話を考察し、解説していきたいと思います。

◆鈴木誠也プロフィール
鈴木誠也選手は東京都で生まれ、高校は東京都の二松学舎大学付属高校に進学しています。都内では指折りの強豪校ですが、中学時代は全国大会に出場するチームのエースで4番だったので、高校入学してすぐにベンチメンバーに入り、高校1年生の秋にはエースの座を掴み取っています。

鈴木選手は足の速さや肩の強さ、スイングスピードは他の高校生を圧倒するものがあり、投手としては150キロ近い速球を投げ、打者としては高校通算43本の本塁打を記録しています。
しかし、持っているポテンシャルを発揮し活躍したものの、高校時代にはいずれも甲子園出場とはなりませんでした。 

しかし、スカウトの評価は高く、抜群の運動神経と非凡な才能をもっているにも関わらず、野球が大好きでストイックにひたむきに練習する姿勢も評価されていました。才能に恵まれながらもストイックにトレーニングに励む姿勢は、大谷選手に通じるものがありますよね。
ドラフトでは2012年度が豊作の年で、メジャーリーグで二刀流として活躍している大谷翔平選手や阪神で不動のピッチャーとして君臨する藤波晋太郎投手など注目選手が多数存在したので鈴木選手はそこまで注目を集めませんでした。

◆尾形スカウトが激推しした「ドラフト秘話」
甲子園には出られなかったため全国クラスの選手にはなれませんでしたが、広島東洋カープの尾形スカウトは、鈴木誠也選手の打力と走力を高く評価していました。
もちろん甲子園に一度も出場することなくドラフト2位指名されることはこれまでほとんどなく、当然、そこまでの道のりは簡単にはいきませんでした。
甲子園に出場する選手は、全てのスカウトが見ていますが、出場できなかった選手はスカウトの目に入りません。鈴木選手は高い評価を受けながらも一部のスカウトの目にしかとまりませんでした。
しかし尾形スカウトは、当時外野手のスター候補を探していた日本ハムやソフトバンクも鈴木誠也選手の獲得を狙っているという情報を聞きつけました。それもそのはず、鈴木誠也選手のところに「北海道」と「福岡」からテレビ局の取材が来ており、獲得が噂されていたそうです。

しかし鈴木誠也選手の知名度は低く、さらに同世代には数々の逸材がいたため、尾形スカウトは広島チーム内のスカウト会議で必死に食らいつき、プレゼン力で勝負しました。当初、球団側は鈴木誠也選手をドラフト4位で指名しようとしていましたが、尾形スカウトは「4位じゃ絶対取れない選手」と強く推薦したそうです。
「4位じゃ絶対取れない選手です。甲子園には出場できなかったものの、本来ならドラフト1位でも遜色ない選手。投打共に高いポテンシャルを持っているので2位までに他球団が指名に動きます」
チーム内でそうしたやりとりが行われ、広島カープは鈴木誠也選手をこうしてドラフト2位で指名しました。契約時の背番号は51。51と言えばイチロー選手を想像するかもしれませんが、かつて広島カープでは「右の強打者の江藤智選手」や「落合博満さんも認める天才打者・前田智徳選手」がつけていた番号で、将来のスター候補が付ける番号であり、チームからの期待度がわかります。

◆大谷翔平と鈴木誠也の関係性について
①仲良しでいじり合える仲
2017年のWBCにむけて、日本代表として同じチームで戦うことになり、2人は「同学年の注目選手」として注目され、テレビ番組で対談しています。同学年ということもあり、とても仲良さそうに無邪気に語っているのが印象的でした。

それ以前、初対面はプロ1年目の宮崎フェニックスリーグで、その時はすこし話しただけみたいでしたが、同じチームとして時間をともにする中で、仲良くなって行ったそうです。お互いのプレーについても対談の中で語っており、鈴木誠也選手は大谷選手に次のように語っています。

「空振りしたスイングがベンチまで聞こえたこと。あれは初めての経験で、バケモンか?と思った。強化試合でも使われたWBC公式球は、僕的には飛ばない感じがした。それをばしばし飛ばしていて、凄いなと。」
このように語り、大谷選手のことを「バケモンかと思った」と発言しています。

大谷選手は鈴木誠也選手にたいして少しちょけた感じで「強化試合での誠也は神ってたね」と笑いながら発言しています。ちなみに「神ってる」という言葉は鈴木誠也選手自身はあまり好きじゃないみたいで、「『神ってる』と言われるのは『まぐれ』と言われているようで、少し嫌だった。『神ってる』ではなく『実力だ』と思われるように頑張りたい」と語っています。

おそらく大谷選手はそのことを知っていた上であえて、鈴木誠也選手を茶化すような、イタズラの意味を込めて「神ってたね」と発言したのでしょう。大谷選手は最近ではメディアの前でそうしたイタズラっ子な面を見せなくなりましたが、お互いをいじり合えるほどの仲の良さが伺えます。

②「頭ひとつ抜けている選手」
対談番組では少し茶化すような発言でしたが、大谷選手も鈴木選手の実力を認めており、2021年の帰国会見で大谷選手は、来シーズンからメジャーに挑戦することを決めていた鈴木誠也選手について次のように語っています。
「今のプロ野球のなかでは頭ひとつ抜けているバッターだとおもいます。十分、メジャーの世界で対応できる実力と対応力を持っている選手だと思う」

このように鈴木誠也選手のメジャーでの活躍に太鼓判を押してくれました。

③「初対戦の初球は笑いながらカーブ投げてきそう、遊んできそうですね。」
鈴木誠也選手はメジャー挑戦に先だって「メジャーでの初対戦は変化球がきますかね?」と言う記者からの質問にたいして、次のように答えています。
「そうですね、あいつの性格は変化球で来ます、絶対に。なんか笑いながらカーブ投げてきそう、真剣勝負っていうより、なんか遊んできそうですね。」
このように答えており、大谷選手がいつも鈴木誠也選手のことをイジっていることが想像できます。仲が良いからこそ、こうしたイジリをするのでしょう。高いレベルで野球をしており、お互いがお互いのことを認めているからこその関係とも言えます。

2人が2022年のシーズンを無事に終えた後、オフにはまた対談番組の中で対談を行って欲しいなと思うような、今後が楽しみになる関係性でした。

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