東京オリンピック・パラリンピック開催から1年以上経っても混乱は続いています。

スポンサー契約に絡む贈収賄事件で逮捕者が出てから3カ月余り、今度は談合の疑いが浮上しました。

東京地検特捜部と公正取引委員会は25日、独占禁止法違反の疑いで、広告最大手『電通』の本社、イベント制作会社『セレスポ』に家宅捜索に入りました。

関係者によりますと、今回、談合の疑いが持たれているのは、大会組織委員会が行った、各競技のテスト大会に関する業務の入札です。

テスト大会は、本大会と同じ競技会場で、観客の受け入れなどを事前に確認する目的で行われるものです。

組織委員会は、2018年にテスト大会の計画立案を委託する業者を選定するため、26件の入札を実施しました。

電通やセレスポなどの9社と、1つの共同企業体が落札していて、契約の総額は5億円余りに上ります。

例えば、電通はバスケットボールやゴルフの会場での業務を約500万円で落札。セレスポは、国立代々木競技場で約3000万円で落札しています。

その入札は受注調整が行われ、会場ごとの落札予定が事前に決められていた疑いがあるといいます。

受注した企業は、そのまま本大会に関する運営業務も随意契約の形で請け負いました。

ただ、組織委員会の担当者は「契約上は随意契約は保証していない」としています。

本大会も含めると、数百億円が9社などに分配されたとみられています。

関係者によりますと、談合疑惑が浮上したのは、贈収賄事件の捜査の過程でした。

幹部らが起訴された『ADK』側から「事前の受注調整があった」と自主申告があったといいます。

ADK(当時アサツーディ・ケイ)は、26件の入札のうち、3件を落札しています。

談合疑惑について、ADKホールディングスの大山俊哉社長は。

ADKホールディングス・大山俊哉社長:全く分かりません。ノーコメントで。(Q.今回、組織委員会は関わっていない)それもノーコメントです。

ただ、25日になって、発注した組織委元幹部の自宅にも捜索が入りました。

入札の開始前、組織委員会側が、業者ごとに実績のある競技などをまとめた“一覧表”を作成していて、それをもとに受注調整がされていた可能性があるということです。

入札が行われたころ、組織委員会にいた男性は、こう話します。

元組織委員会の職員(電通出身):テスト大会も、本番の大会も、組織委のスタッフが中心に、計画したり運営すれば一番いいが、日本の組織委にはノウハウがない。ある競技団体から出向していた、会場運営の幹部および広告代理店から出向していた競技運営のプロフェッショナルがいる。協議をしていくなかで、餅は餅屋というか、専門家に委託した方が良いとなった。

組織内にいて、情報公開の少なさに疑問を感じていたといいます。

元組織委員会の職員(電通出身):決定するプロセスがちょっと不透明だった。何々社は何々で何点、合計何点と公表されないといけない。今回それが一切なくて、契約した会社だけがハッキリしていた。(Q.組織委員会が関わっていた可能性は)発注側で調整するにあたって、当然、受注側と相談しないと決められない。両方分かったうえの話ではないか。

開催都市の東京都、小池知事は、調査チームを設置しました。

東京都・小池知事:よく使われる言葉かもしれませんが、誠に遺憾。(Q.大会組織委員会側が“一覧表”を作成していた疑いが報じられているが)組織委員会に派遣されていた職員への聞き取りを行っている。

電通は、今回の強制捜査に対してコメントを出しました。

電通:多大なるご心配、ご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げます。当社グループは、全容の解明に向けて、調査に全面的に協力してまいります。

***

(Q.発注側の大会組織委員会に、落札側の電通などの社員が出向していました。発注側と受注側が事実上、一体化していた状態は普通ではないですよね?)

元東京地検特捜部・高井康行氏:大きな利権が絡む大会で、談合があるのは想定の範囲内。組織委員会に出向した関係者は、契約手続きにタッチさせないのが正しいやり方だ。

(Q.特捜部は、一連の贈収賄事件を捜査するなか、談合疑惑の捜査に踏み切りました。狙いは何ですか?)

元東京地検特捜部・高井康行さん:特捜は、談合を行った関係者はすでに把握しているだろう。捜査で押収した資料や関係者の話から“大物が関与する別の不正”を探る狙いもあるのでは。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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